2008年05月22日
「靖国 YASUKUNI」靖国のタブーはむしろ強まった?!
靖国刀をつくり続ける90歳の刀匠へのインタビューを軸に、8月15日の靖国神社の様子を映し出す地味なドキュメンタリー。恐らく、ほとんどの日本人が知らない光景である。8月15日の靖国神社は異様な雰囲気だ。首相の靖国参拝に賛成にしろ反対にしろ、多くの人はわざわざ靖国神社には行かない。
ここに映っている人たちは、ある意味で極端な人たちだ。台湾先住民の抗議を通訳して伝える日本人は、怒りのあまり汚い言葉を使うし、靖国参拝反対を叫ぶ日本の若者は、わざわざ参拝運動を進める集会に乱入して殴られる。彼らに「中国へ帰れ!」と叫び続ける日本人の姿も、また見苦しい。
製作スタッフが本当に問いかけたかったのは、スクリーンに映っていない、大部分の日本人の意識ではないだろうか。それはかつて軍部に騙され、あるいは同調し、あるいは嫌々ながら侵略戦争を遂行した日本人に重なる層である。いつの時代も、この声なき多数派が国の進路を決めることになる。
この映画は結局、上映できることになった。しかし、宣伝になったなどと考えるのは早計である。政治家が介入して上映自粛を招いたという事実は大きいし、靖国のタブーはさらに強まるだろう。今後これだけのトラブルを覚悟して、靖国問題に取り組む日本人がいるだろうか。

