「考えさせる」「「役に立つ」「視野が広がる」
先週の「ブラッド・ダイヤモンド」に続き、珍しくハリウッド映画を二本続けて観た。しかも当たり! やはりハリウッド映画は、社会的政治的テーマを扱ったものが面白い。世界一の軍事大国アメリカ、性と暴力のアメリカで、文化的多様性の一角を担ってきたハリウッドの熟練の技である。
この映画、ある意味でショーン・ペンの存在感が全てと言ってもいい。ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、アンソニー・ホプキンスなどのそうそうたる俳優が出ているのだが、ショーン・ペンのただ者ではないたたずまいの前では影が薄い。演技以前の何かがショーン・ペンにはある。ショーン・ペンは間違いなく、アメリカの一側面を体現している。
原作はロバート・ベン・ウォーレンのピュリツァー受賞作「すべて王の民」。第二次大戦後間もないルイジアナ。汚職に一人で立ち向かう実直な男、下級役人のウィリーが知事選に出馬を促される。しかし、票を割るために利用されたと気づいた彼は、怒りを込め全身全霊で演説を繰り返す。富裕層の特権を批判し貧しい者の救済を訴える彼は、人々の心をつかんで地滑り的勝利を収める。
しかし、やがて知事として政治に通暁していくに従って権力に安住し、汚い手も使う凡庸な政治家に変貌していく。いつの間にか、貧困層の支持を背景に辣腕を振るうポピュリズム政治家に堕していたのだ。もともと、神の名の下に悪の撲滅を叫ぶウィリーの正義論は、危ないものをはらんでいた。
悪は善から生まれて善を押し流す。善悪二元論は憎しみを正当化し、限りなく悪を生み続ける。関係性の中から生まれてくる悪を固定化絶対化する愚を、我々は顧みなくてはならないだろう。
2006年アメリカ映画 監督:スティーブン・ゼイリアン 配給:ソニーピクチャーズ
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2007年04月20日
2007年04月13日
「ブラッド・ダイヤモンド」 ダイヤをめぐる、アフリカと白人と私たちの物語
「考えさせる」「役に立つ」「視野が広がる」
この重いテーマを映画にしようと思ったことに脱帽である。「投資家がリスクを避けて、ヒット作の続編ばかりつくる」「リメークばかりしている」と評判の悪いハリウッド映画だが、時々こういう作品が出てくるから侮れない。派手で、時にあざとい手法が生きている。
90年代末のシエラレオネの内戦を舞台に、ダイヤモンドをめぐる密輸、傭兵、内戦。そして、腐敗した政府と少年をさらって兵士にする反政府組織と宝石会社の、欲と利益と血にまみれた取引と争いを描いている。まさに「血塗られたダイヤモンド」だ。
最近、アフリカを舞台にした映画が増えている。それは難問を山ほど抱えたアフリカが、映画の題材に事欠かないからだ。そう考えると複雑な思いがするが、消費文化に埋もれている私たちにはアフリカの現実を知る必要があり、その手段は限られている。しかも新聞は読まれないし、市民運動に参加する人も少ない。映画は残された数少ない手段の一つだ。
しかも、レオナルド・ディカプリオのようなメジャーな俳優の主演作だ。そのデイィカプリオ。作品選びに難があり、年齢が上がるにつれて顔や体型が変わってきたこともあり一時低迷していたが、この映画で完全復活だ。一癖も二癖もある個性派の風貌になって、アイドル時代の雰囲気を完全に脱した。特に下から睨み上げる時の表情が絶品なので、是非観て頂きたい。意志の強いジャーナリストを演じるジェニファー・コネリーも美しい。
監督:エドワード・スウィック 2006年:アメリカ映画 配給:ワーナーブラザース
この重いテーマを映画にしようと思ったことに脱帽である。「投資家がリスクを避けて、ヒット作の続編ばかりつくる」「リメークばかりしている」と評判の悪いハリウッド映画だが、時々こういう作品が出てくるから侮れない。派手で、時にあざとい手法が生きている。
90年代末のシエラレオネの内戦を舞台に、ダイヤモンドをめぐる密輸、傭兵、内戦。そして、腐敗した政府と少年をさらって兵士にする反政府組織と宝石会社の、欲と利益と血にまみれた取引と争いを描いている。まさに「血塗られたダイヤモンド」だ。
最近、アフリカを舞台にした映画が増えている。それは難問を山ほど抱えたアフリカが、映画の題材に事欠かないからだ。そう考えると複雑な思いがするが、消費文化に埋もれている私たちにはアフリカの現実を知る必要があり、その手段は限られている。しかも新聞は読まれないし、市民運動に参加する人も少ない。映画は残された数少ない手段の一つだ。
しかも、レオナルド・ディカプリオのようなメジャーな俳優の主演作だ。そのデイィカプリオ。作品選びに難があり、年齢が上がるにつれて顔や体型が変わってきたこともあり一時低迷していたが、この映画で完全復活だ。一癖も二癖もある個性派の風貌になって、アイドル時代の雰囲気を完全に脱した。特に下から睨み上げる時の表情が絶品なので、是非観て頂きたい。意志の強いジャーナリストを演じるジェニファー・コネリーも美しい。
監督:エドワード・スウィック 2006年:アメリカ映画 配給:ワーナーブラザース
2007年04月01日
「鉄人28号 白昼の残月」昭和を生きた全ての人へ
「考えさせる」「役に立つ」「視野が広がる」「楽しめる」
「鉄人28号」は私が子供の頃、絶大な人気を誇っていたマンガだ。男の子はみんな読んでいた。私もテレビのアニメは時々観ていた。大学生の時、同級の男子学生に大ファンがいて、鉄人28号の最後について熱弁を振るっていたのを思い出す。
で、今回どうして観ようと思ったかというと、オフィシャルサイトを観たとたんにスイッチが入ったのである。そうとしか言いようがない。私の中に生きていた昭和が甦ったのだ。
今川泰宏という監督によるリメーク作品。どうかなと思って観たら、これがすごく面白いのだ。この監督は一部のアニメ・ファンの間で絶大な人気があり、原作クラッシャーと呼ばれているというが、納得だ。ただのリメークではない。まさに「現代に甦った」という言葉がぴったり。
戦後復興へ向かう日本に、生き残った元特攻隊員が亡霊のように現れる。本土防衛の幻が生み出した廃墟爆弾は、日本人の復興の夢を打ち砕き、忘れたい過去に引き戻そうとするかのようだ。そんな脆い戦後を終わらせるために、元特攻隊員が取った行動とは・・・。
鉄人28号の最後は悲しい。それは日本の戦後復興と高度成長が、多くの犠牲の上に築かれたことを改めて思い起こさせる。ロボットアニメは今川泰宏という才能を得て、戦後日本のアイデンティティーを問うところまで来た。細部までこだわったレトロなつくりも絶妙だ。
思わずスイッチが入ってしまうオフィシャルサイトはこちら
http://www.tetsujin28-movie.com/
監督:今川泰宏 2005年:日本映画 配給:日活
「鉄人28号」は私が子供の頃、絶大な人気を誇っていたマンガだ。男の子はみんな読んでいた。私もテレビのアニメは時々観ていた。大学生の時、同級の男子学生に大ファンがいて、鉄人28号の最後について熱弁を振るっていたのを思い出す。
で、今回どうして観ようと思ったかというと、オフィシャルサイトを観たとたんにスイッチが入ったのである。そうとしか言いようがない。私の中に生きていた昭和が甦ったのだ。
今川泰宏という監督によるリメーク作品。どうかなと思って観たら、これがすごく面白いのだ。この監督は一部のアニメ・ファンの間で絶大な人気があり、原作クラッシャーと呼ばれているというが、納得だ。ただのリメークではない。まさに「現代に甦った」という言葉がぴったり。
戦後復興へ向かう日本に、生き残った元特攻隊員が亡霊のように現れる。本土防衛の幻が生み出した廃墟爆弾は、日本人の復興の夢を打ち砕き、忘れたい過去に引き戻そうとするかのようだ。そんな脆い戦後を終わらせるために、元特攻隊員が取った行動とは・・・。
鉄人28号の最後は悲しい。それは日本の戦後復興と高度成長が、多くの犠牲の上に築かれたことを改めて思い起こさせる。ロボットアニメは今川泰宏という才能を得て、戦後日本のアイデンティティーを問うところまで来た。細部までこだわったレトロなつくりも絶妙だ。
思わずスイッチが入ってしまうオフィシャルサイトはこちら
http://www.tetsujin28-movie.com/
監督:今川泰宏 2005年:日本映画 配給:日活

